あした恋 あした恋
藤本 栄之助 著
四六判上製/カバー装
232頁
2007年6月発売
定価1,980円(本体1,800円)
ISBN:978-4-901592-42-0
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あとがきより
小説には私小説というジャンルがあった。「あった」と過去形で書いたのは、いまでは、私小説という分類をする評論家が少なくなったからである。あえて言うならば、小説はすべて私小説である。作家という人間の思想や世界観から、完全に飛び離れて書いた物語は、単なる絵空事か人まねであろう。
(中略)
人間の、いや人類の苦悩を乗り越えて、希望を見出そうとするのが文学か、人間や世界というものは、そんな単純なものではないから、簡単に未来への希望など見出せるはずもなく、絶望の中に生きていかなければならない人間の悲しみを描くのが文学か、いずれにしても、苦悩に満ち溢れている自分の世界観から飛び立って、何かを創造しようとする作業が文学であり、未来に希望を見出せないこの世の中にあっても、意味のある生き方をするためのヒントを与えてくれるものが文学であってほしい。
目次より
草莽の系譜―森鴎外と小泉八雲
ふるさとへの轍
吹雪の夜汽車にて
博多「住吉橋」
あした恋
北の海の人魚
著者紹介
藤本 栄之助(ふじもと・えいのすけ)
昭和11年(1936)熊本県菊池市に生まれる。昭和35年(1960)京都大学理学部科学化卒業。旭化成および旭有機材工業を経て、現在、藤井基礎設計事務所 地域戦略研究所に勤務。登山家。京都大学学士山岳会(AACK)会員。日本国内の高峰のほとんどを登頂および縦走。ヨーロッパアルプス・ブライトホルン(4176m)、アラリンホルン(4087m)およびモンブラン(4807m)など多数の高峰にいずれも登頂成功。カムチャッカ半島最高峰クリュチェフスカヤ(4850m)登頂遠征隊隊員。
著書
「わが巡礼―島原原城への旅」(鉱脈社 2001年)
「花暦めくれば」(鉱脈社 2001年 宮日出版文化賞受賞)
「遥かなるクリュチェフスカヤ」(アーツアンドクラフツ 2003年 NHKラジオ第一(九州地区)で一部朗読)
「草莽の系譜―森鴎外と小泉八雲」(2004年 しまね文学賞受賞 全国図書館協会推薦図書)
「追憶の日々思い出の場所」(藤井基礎設計事務所 地域戦略研究 2005年)
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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