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野見山暁治 版画1965−2002 |
[特装版]〈残部僅少〉 | |
野見山 暁治 著 | |
A4判仮フランス装/カバー:オリジナル・リトグラフ版画使用 | |
図版=約170点(うち4色=20点) | |
96頁 | |
2004年9月発売 | |
定価3万800円(本体2万8000円) | |
ISBN:978-4-901592-20-8 | |
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限定250部 | |
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- カバーにオリジナル石版画(制作・工房MMG)を使用
- 必ず手に入れたい一書!

- 版画集『オ・ニ・バ』(1988年)より
- リトグラフィの準備に、これほど時間をつぶしたのは初めてだが、それは結果的にあまり感心したことではない。下描きの水彩画がもたらす効果を容易に捨てきれず、東京に戻ってから、月が変っても、ただの一枚も刷りあがらない始末だった。
ある形というか、いわば下着からネクタイまでをひっくるめて、ひとつの縫いぐるみを作ろうと、せっかち過ぎたのはわかっている。
油絵とは違うのだ。リトグラフィは、下着、シャツ、ネクタイ、スーツと順序通り着込んで、ようやく外を歩ける。ズボラなぼくには厄介な手順だ。
中途で投げださなかったのは、スーツを着たままで下着を脱いだり、シャツの色を随時、とり替えることの出来る気軽さにあった。なんと爽やかなヘンシンだろう。
日を追って下描きから少しずつ遠ざかってゆく。気まぐれ屋のぼくは着せ替え人形の面白さに、のめりこんだ。
今から始まるのだったら、もっともっと遠くまで行けるだろう。日ごろ油絵具をべたべた塗りこんでいるぼくにとって、リトグラフィというのは逆になにもかも脱ぎすててゆく楽しさだ。 - リトグラフィの準備に、これほど時間をつぶしたのは初めてだが、それは結果的にあまり感心したことではない。下描きの水彩画がもたらす効果を容易に捨てきれず、東京に戻ってから、月が変っても、ただの一枚も刷りあがらない始末だった。

- 著者紹介
- 野見山 暁治(のみやま・ぎょうじ)
- 1920年、福岡県嘉穂郡穂波村に生まれる。43年、東京美術学校を戦争のため繰上げ卒業。歩兵第113連隊補充隊に入隊。44年、病気により内地送還。52年、フランス政府私費留学生として渡仏。58年、「岩上の人」で第2回安井賞受賞。64年に帰国。68年、東京芸術大学助教授(72年、教授)。81年に辞職し、客員教授を経て名誉教授。2000年に文化功労者に選ばれる。
作品は、東京国立近代美術館、福岡県立美術館、神奈川県立近代美術館など多数の美術館に収蔵。絵画作品のほかに、第26回日本エッセイストクラブ賞受賞の『四百字のデッサン』をはじめ、『パリ・キュリイ病院』『遠ざかる景色』『一本の線』など著書多数がある。- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 野見山 暁治(のみやま・ぎょうじ)
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