辻井喬 辻井喬 ――創造と純化
小川 和佑 著
四六判上製/カバー装
本文232頁
2008年12月25日発売
定価2,700円(税込み)
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目次
辻井喬の文学―はじめにかえて
詩人の出発からその到達まで
歴史と古典への洞察
創造と純化の文学T、U
歴史小説としての『終わりからの旅』
記憶と想像力―詩集『わたつみ・しあわせな日日』
『沈める城』を読み解く
『父の肖像』と私小説をめぐって
外伝としての短編集『書庫の母』
あとがき
巻末対談
「わが文学交遊録」 辻井喬×小川和佑
小川 当時は、小野十三郎の全盛だった。若い人たちにずいぶん影響を与えていました。後の吉本隆明なんて比じゃなかった。『短歌的抒情の否定』で、歌人たちはぺちゃんこになっちゃっていた。
辻井 私は、「新日本文学」の編集部にいましたから、そこで小野さんにお会いしています。そのときの編集長が中野重治さん。私は駆け出しの編集部員でしたので、中野重治さんに言われて随分いろんな方のところへ原稿を取りに行かされました。覚えているのは武田泰淳と伊藤整。武田さんは世田谷に住んでおられたときで、原稿が遅れていた。当時「新日本文学」は原稿料が出ませんから、それでも取りに行かされた。
小川 原稿料が出なかったのですか。それは知らなかった。
辻井 そうなんです。「中野重治がそう言っていると言ったらくれるから、君は、そう言って原稿を貰ってこい」と言われて行ったのですが、武田泰淳さんは、「締め切りが迫っている原稿がふたつもあるしなあ」と、なかなかうんと言わない。そのとき、武田さんの後ろで、ルノアールの少女像に出てきそうな女性が、団扇で彼をあおぎながら、「あなた、学生さんがああ言ってるんだから、書いてあげたら」と助言してくれたんです。それが武田百合子さん。それからずっと、武田百合子さんには頭が上がらなかった。だから、「新日本文学」では、何人もの作家たちを知ることができました。
「『新日本文学』編集部のころ」より抜粋
作家・辻井 喬
昭和2年(1927年)3月30日生まれ。東大卒。(財)セゾン文化財団理事長、文藝家協会常務理事。近刊に『自伝詩のためのエスキース』(思潮社)がある。
著者紹介
小川 和佑(おがわ・かずすけ)
国文学者・文芸評論家。1930年生まれ。
現在、明治大学リバティアカデミー講師、日本文芸協会会員、日本ペンクラブ会員。
主な著書に『立原道造の世界』『伊東静雄』(講談社)、『三好達治研究』(国文社)など近代抒情詩を中心とする批評から『東京学』(新潮文庫)『漱石・三四郎の東京学』(NHK出版)や『桜の文学史』(文春文庫)『桜と日本人』(新潮選書)、『唱歌・賛美歌・軍歌の始原』『桜と日本文化』『花とことばの文化誌』(以上、アーツアンドクラフツ)など多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
関連書
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