私小説の生き方 私小説の生き方
秋山 駿・富岡 幸一郎 編
A5判並製/カバー装
本文320頁
2009年6月発売
定価2,420円(本体2,200円)
ISBN:978-4-901592-52-9
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目次
「人生」を生きる――
『少女病』田山花袋
『城の崎にて』志賀直哉
『トカトントン』太宰治
『蜆(しじみ)』梅崎春生
『鳳仙花』川崎長太郎
「夫婦・恋人」と生きる――
『黒髪』近松秋江
『業苦』嘉村礒多
『清貧の書』林芙美子
『暢気眼鏡(のんきめがね)』尾崎一雄
『聖ヨハネ病院にて』上林暁
『われ深きふちより』島尾敏雄
『忍ぶ川』三浦哲郎
「家族」と生きる――
『哀しき父』葛西善蔵
『父を売る子』牧野信一
『今年の春』正宗白鳥
『黒い裾』幸田文
『北の河』高井有一
『私々小説』藤枝静男
解説対談
「私小説は、面白い」 秋山駿×富岡幸一郎
富岡 私小説は、かつて中村光夫などにより多くの批判にさらされてきましたが、秋山さんは『私小説という人生』(二〇〇六年、新潮社刊)で、古希を過ぎて、日本の近代文学をもう一度読み直して見よう、生き直してみようということで、私小説を取り上げられました。田山花袋、志賀直哉などは名前は知られていますが、実作品はなかなか読まれない。ところが私小説を実際読むと、人間のさまざまな場面での生き方を実によく映し出していて、面白い。
秋山 私が七十歳を過ぎて、あらためて私小説を読み直して感心したのは、日本人の生き方を非常によく追求して、真剣に描いているということ。翻って今日のわれわれの生き方とくらべてみると、非常に面白い光景が見えてくる。また日本の近代文学の上では、私小説のおかげで小説はどんどん深く、進歩していった。同時に、私小説が出てきたことによって、小説と批評とのギャップが広がった。つまり小説と批評とのすれ違いが出てきて、それが今日まで続いている。
(対談抜粋)
編者紹介
秋山 駿(あきやま・しゅん)
1930年、東京生まれ。早大仏文科卒。60年、評論「小林秀雄」で「群像」新人文学賞を受賞。90年、『人生の検証』で伊藤整文学賞受賞。96年刊行の『信長』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。『内部の人間』『歩行と貝殻』『舗石の思想』『知れざる炎―評伝中原中也』『私小説という人生』『忠臣蔵』など多くの著書がある。
 
富岡 幸一郎(とみおか・こういちろう)
1957年、東京生まれ。中大仏文科卒。在学中の79年、「意識の暗室――埴谷雄高と三島由紀夫」で「群像」新人文学賞評論優秀作を受賞。主な著書に『戦後文学のアルケオロジー』『内村鑑三』『批評の現在』『仮面の神学――三島由紀夫論』『言葉 言葉 言葉』『作家との一時間』『使徒的人間――カール・バルト』『非戦論』『文芸評論集』など多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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