くちづける くちづける
窪島 誠一郎 著
A5判カバー装
本文152頁
2016年3月発売
定価2,376円(税込み)
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加藤登紀子さん推薦
恋が終わる時にこそ、輝くように、死者の声は生者の声より響きます。「くちづける」の言葉のすべて、ただ黙って抱きしめたい。(帯より)
生と死に向きあう
 旧臘二十三日の午後五時半、私はとつぜんのクモ膜下出血に斃れた。たまたま斃れたのが、長野市内でひらかれたある集会の記者会見の席上という場だったので、私はすぐさま救急車で病院に搬送されて緊急手術、辛うじて一命をとりとめた。あと十分遅かったらダメだったそうだ。強運とはこのことだろう。今ではこの通り、会話にも手足にもまったく障害のないぴんしゃんした身体で生きているのである。(中略)
 そんな強運男の退院を待っていてくれたのが、この詩集の上梓だった。もちろんここに収められているのは、私が病にたおれる以前に書いた作品ばかりだから、「生」だの「死」だのといっても、今読むとどこか呑気で他人ゴトのような響きがあるのだが、それはそれで私が「死出の旅」に出る前の、いわば旅支度のあいまの言葉として読んでもらうしかないだろう。逆にいうなら、こうした詩を書いていた男が、まさにあと半歩で死の世界という三途の川の辺まで、二泊三日の小旅行をしてきたのである。(後略)(あとがきより)
【本詩集のうち数編は、作曲家・池辺晋一郎氏が曲をつけ、「無言館開館20周年」として、9月に発表されます】
著者紹介
窪島 誠一郎(くぼしま・せいいちろう)
 1941年、東京生まれ。印刷工、酒場経営などへて、1964年、東京世田谷に小劇場の草分け「キッド・アイラック・アート・ホール」を設立。1979年、長野県上田市に夭折画家の素描を展示する「信濃デッサン館」を創設、1997年、隣接地に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を開設。2005年、「無言館」の活動により第53回菊池寛賞受賞。
 おもな著書に「父への手紙」(筑摩書房)、「信濃デッサン館日記」I〜IV(平凡社)、「漂泊・日系画家野田英夫の生涯」(新潮社)、「無言館ものがたり」(第46回産経児童出版文化賞受賞・講談社)、「鼎と槐多」(第14回地方出版文化功労賞受賞・信濃毎日新聞社)、「無言館ノオト」「鬼火の里」(集英社)、「無言館への旅」「高間筆子幻景」「父 水上勉」「母ふたり」「「自傳」をあるく」(白水社)、「夭折画家ノオト」「蒐集道楽」(アーツアンドクラフツ)など多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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