人はなぜ山を詠うのか 人はなぜ山を詠うのか
正津 勉 著
四六判上製/カバー装
216頁
2004年7月発売
定価2,160円(税込み)
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書評・紹介
 下界を離れて山に登った詩人や歌人は、人生の岐路に何を求めて山へ向かうのか。本書は、山に魅せられた9人を取りあげ、その山行と作品を紹介しながら、人生の苦悩と再生を読み解く一冊だ。
 「山の詩人」高村光太郎は、人生の危機に直面するたび、山に向かった。はじめは退廃生活からの脱出のとき。次は智恵子の発症後、そして敗戦後は山村で独居生活。3度のどん底から再生を果たした。
 宮沢賢治の山歩きは独特だ。イーハトーブ32の山名を指定し、写経を経筒に納めて埋める山岳仏教を生活信条にしたという。山の霊に会うため、たいていは単独で登山。夢幻の世界に遊んだ賢治の姿が想像される。「日本百名山」を記した深田久弥は茅ケ岳で急逝。心の故郷白山を、生涯愛したとか。
 人生や創作で苦悩した者ほど、山と対峙し、山を詠む。山をテーマに詩を発表する著者だけに、山へ寄せる思いは熱い。
(日刊ゲンダイ 2004年7月13日)
[収録詩人]
高村光太郎 斎藤茂吉 窪田空穂 宮沢賢治 尾崎喜八 中西悟道 深田久弥 石橋辰之助 鳥見迅彦
著者紹介
正津 勉(しょうづ・べん)
1945年、福井県大野に生まれる。同志社大学文学部卒業。1972年、詩集『惨事』(国文社)を刊行。以後、70年代詩人のひとりとして活発な詩作活動を展開する。主な詩集に、『正津勉詩集(現代詩文庫)』『エヴァ』『死ノ歌』(思潮社)など。また小説集に『笑いかわせみ』(河出書房新社)、エッセイ・批評に『詩人の愛』『刹那の恋、永遠の愛』(河出書房新社)などがある。近年は山をテーマにした詩を発表、詩集『遊山』(思潮社)を刊行している。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
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